国による政策
介護業界を盛り上げるためには
高齢化がすすんでいるにもかかわらず介護職の人手不足が大きな問題となっていますが、この問題を解決するには一般の人が介護職に抱いている「きついイメージ」を払拭する必要があります。先述したとおり、介護職は高齢者の自立をサポートし社会への貢献度も高い仕事ですが、「体力的につらい」「精神的にきつい」「給与が低い」などのイメージを持っている人が半数以上おり、介護職として働こうという人が少ないのが現状です。しかし、介護労働安定センターの調査によると、介護職を辞めた理由として挙げられるのは「職場の人間関係」が23.9%で一番多く、次いで給与に不満を持っていることが16.5%であることが分かりました。人手不足を解消するにはまずはこれらの問題を解決することが先決です。国も介護職に従事する人の数を増やし長く働けるように待遇改善を行ったり資格の支援制度を設けたりして対策しています。
国が取ったイメージアップ政策は?
現状から抜け出すためには介護職のイメージを変えることが重要だとして国もさまざまな取り組みを行っていますが、その中でも世間の注目を集めたのが「勤続10年の介護福祉士に月8万円の処遇改善加算を行うこと」です。実際に介護職として働いている人の不満を調査してみると「人手が足りない」「有給休暇が取りにくい」「身体的な負担が大きい」などが挙げられていますが、「仕事内容と給料が合っていない」と不満を抱いている人も41.5%と半数近くいることが分かりました。
給与の低さは離職の直接の原因にはつながりませんが、モチベーションの低下や人間関係を悪化させるには十分です。いくらやりがいがあっても仕事に対する意欲が湧かないのであれば、離職してしまう人が後を絶たないのも仕方がありません。そういった意味でこの政策は介護福祉士の待遇改善を大きく前進させる取り組みといえますが、勤続10年という条件がつけられているため対象外の人も多く、「介護職の給料は低い」というイメージを覆すことはできない、という意見も少なくありません。
修学資金貸付制度
また、国は介護福祉士の養成学校に通う学生に対して資金を援助する「修学資金貸付制度」に14億円もの予算を充て、介護職に人材養成や確保を目指しています。この制度は通学している間は5万円、入学と卒業時に20万円を借りることができ、借りたお金は国家資格を取得して介護職として5年間勤めれば返済する必要はありません。
これから介護業界に挑戦する人へ
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まず介護とはなにか?
高齢者が最期のときまで自分らしく生きるためにお手伝いするのが介護職の仕事です。不便や不快を感じないように日常生活をサポートするのはもちろん、高齢者の気持ちに寄り添って過ごせるように心を砕いたり、残っている能力を有効に活用できるような手段を考えたりします。
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きつい仕事だと思われている理由
身体に負担がかかる業務が多いため体力的に厳しいのはもちろんですが、複雑な人間関係や仕事内容に見合わない給料、生活リズムが崩れやすいシフトなどがピックアップされやすいため、介護職=きつい仕事だと思われています。
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東京では初任者研修が無料で取得可能?
人口が集中している東京都は高齢者の数も多いため、介護業界の人手不足はかなり大きな問題となっています。そこで少しでも人材を確保するために介護職の基礎的な資格である介護職員初任者研修を無料で受けられる講習も行っています。
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転職先となる介護施設の選び方
以前は3Kと呼ばれていた介護職ですが、利用者が増えて環境が整備された今では劣悪な環境の介護施設はほとんどありません。ですが、希望する条件が合わなければ働きにくいと感じてしまい仕事に対する意欲も低下してしまうため、自分に合う施設を選ぶことが大切です。
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転職エージェントを利用しよう!
介護職への転職を成功させたいのであれば、転職のノウハウを持ち施設側と独自のパイプを築いている転職エージェントを利用しましょう。求人の紹介だけでなく求職者にとって心強いサポートで転職活動をバックアップしてくれます。
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介護の現場の取り組み
介護業界への就職を躊躇する若年層に向け、施設や事業所が説明会や体験会を行っています。また、職場環境の改善、マナー向上の研修なども実施。現場の声と外部の目、いずれも重視することでイメージアップを確かなものにしています。