自治体の取り組み
介護業界に見切りをつけている人も多い
介護業界の人手不足は深刻です。入職する人は年間23.7万人もいるものの、離職する人が年間22.4万人とそれほど差はなく、常に人手が不足している状態です。しかも離職者のうち13.4万人は介護業界に見切りをつけ違う業界に転職しています。そのため、国だけでなく人材の流出を防ぐためにいち早く組織改革をすすめて人手不足の解消に力を入れている自治体もあります。
埼玉県
埼玉県では介護職のイメージアップや魅力ある職場作りに取り組んでいます。特に力を入れているのは、介護職の資格や能力に応じた給与体系を整備する「介護職員モデル給与表の作成」や、介護職に対して感謝や応援の気持ちを表す「コバトン・ハートフルメッセージ」を募集し、受け付けたメッセージに応じて職員や施設を表彰することです。
川崎市
川崎市ではメンタルヘルスの相談事業や職場改善のために管理職研修を実施などで「長く働き続けられる環境作り」と「キャリアアップ支援」で人材を育成し、定着率の向上を目指しています。
飛騨市
岐阜県の最北端に位置している飛騨市では、特別養護老人ホームなどの介護施設への入居待ちの多さが問題となっています。待機者はおよそ300人近くいるといわれていますが、この状況を突破するために夜勤手当を補助して介護職員の確保や定着を目指しています。
山形県
ますます加速していく高齢者の増加に対応するだけでなく認知症などにも質の高い介護サービスが必要だとして、山形県では介護職員の人材育成や確保、定着と離職を防止するために総合的にサポートしています。女性が多い職場ということもあり、育児休暇制度を整備して継続して勤務できるような体制を整備したり、キャリアアップしやすいように資格取得の助成やキャリアパス制度を導入したりしています。
宮城県
宮城県ではネガティブなイメージが先行している介護職をイメージアップし、魅力をもっと幅広く発信できるようにリーフレットやPR映像ツール「ケア・ヒーローズ」を作成して、生き生きと働く介護職員の姿を紹介しています。
宮城県の「ケア・ヒーローズ」 リーフレットはこれから将来を決める中学三年生とその保護者に、映像ツールは各市町村や社会福祉協議会、高等学校、介護福祉士養成施設などにそれぞれ配布されました。リーフレットは全20ページ、映像ツールは約26分の動画ですが、介護の職種だけでなく実際に働いている人のインタビューも掲載されているので現場の生の声を聞くことができます。これから介護業界に挑戦する人へ
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まず介護とはなにか?
高齢者が最期のときまで自分らしく生きるためにお手伝いするのが介護職の仕事です。不便や不快を感じないように日常生活をサポートするのはもちろん、高齢者の気持ちに寄り添って過ごせるように心を砕いたり、残っている能力を有効に活用できるような手段を考えたりします。
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きつい仕事だと思われている理由
身体に負担がかかる業務が多いため体力的に厳しいのはもちろんですが、複雑な人間関係や仕事内容に見合わない給料、生活リズムが崩れやすいシフトなどがピックアップされやすいため、介護職=きつい仕事だと思われています。
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東京では初任者研修が無料で取得可能?
人口が集中している東京都は高齢者の数も多いため、介護業界の人手不足はかなり大きな問題となっています。そこで少しでも人材を確保するために介護職の基礎的な資格である介護職員初任者研修を無料で受けられる講習も行っています。
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転職先となる介護施設の選び方
以前は3Kと呼ばれていた介護職ですが、利用者が増えて環境が整備された今では劣悪な環境の介護施設はほとんどありません。ですが、希望する条件が合わなければ働きにくいと感じてしまい仕事に対する意欲も低下してしまうため、自分に合う施設を選ぶことが大切です。
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転職エージェントを利用しよう!
介護職への転職を成功させたいのであれば、転職のノウハウを持ち施設側と独自のパイプを築いている転職エージェントを利用しましょう。求人の紹介だけでなく求職者にとって心強いサポートで転職活動をバックアップしてくれます。
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介護の現場の取り組み
介護業界への就職を躊躇する若年層に向け、施設や事業所が説明会や体験会を行っています。また、職場環境の改善、マナー向上の研修なども実施。現場の声と外部の目、いずれも重視することでイメージアップを確かなものにしています。